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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

生命はあふれたがる・岐阜大学キャンパス

自然考旅もいよいよ大詰めとなりました。最後にご紹介するのはこちらになります。
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じゃん。国立大学法人岐阜大学のキャンパスです。他の回でも何度か登場してますね、あんなことやこんなこと・・・思い出がいっぱいです。今回は岐阜大キャンパスの自然について掘り下げてみましょう。

新緑薫る4月下旬のキャンパスです。この日は仕事の打合せだったかな。
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自然考に「オープンキャンパスで訪れた高校生はごみが少ない緑豊かな環境に驚く」とある通り、広々とした開放的なキャンパス内にはたくさんの木々が茂り、その緑が訪れる人の目を和ませてくれます。

ケヤキの木が爽やかな木陰を作ってます。
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4月の下旬といえばちょうど新歓コンパの時期でしょうか、広場のあちこちにバーベキューの煙が上がってとても楽しそう。お酒はやっぱダメなんですかね。昼間ですしね。

見事なヤエザクラ。
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ソメイヨシノの時期には学内でゼミのお花見が行われたりするそうです。くどいようですがお酒は飲めないんですかね、まさか花を見てお菓子を食べて談笑する、とかなんですかね、、、、

キャンパス内にはいろんな樹木が見られます。自然考によると約64haの柳戸キャンパス内に生息する植物は最低でも280種とか。結構な多様性ですね。
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あっ!カゴノキ発見です。なんか嬉しい。

天を衝く高さのメタセコイヤは一際目立つ存在です。
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こんなに巨大な樹木、きっと昔からここに生えていたんだろう、と思いそうになるのですが、実はそうではありません。岐阜大学がこちらの場所に移転してきたのはほんの35年前。それ以前はこのあたり一体は「伊自良川の氾濫原で、堀田(堀り上げ田)と呼ばれる水田のある湿地帯」(自然考より)だったのだそう。

大学の歴史を伝える、「岐阜大学の五十年」と「岐阜大学はいま」を紐解いてみましょう。岐阜大学はもともと各務原市那珂に本部と工学部・農学部・工業短期大学部、長良に教養学部、司町(現在メディアコスモスがあるところ)に医学部、とキャンパスが分散していました。これを1ヵ所に統合するために、岐阜市黒野地区(=現在の柳戸)の湿田が埋め立て・造成されたんだそう。PDF公開されてる造成前の地図を見ると、見渡す限りの水田・湿地帯だったことがよくわかります。
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今でもキャンパス内に残る「鷭ヶ池(鷭の池)」ですが、造成前はヨシやマコモに覆われた湿地帯で、その名の通りクイナの一種・バンが飛来する地として有名だったそう。岐阜野鳥の会の要請によって池は埋め立てられず残されたようです。「岐阜大学の五十年」には造成前の鷭ヶ池の写真も見られますが非常に素敵な湿地。どんな生きものがいたんでしょうね~。調査記録とか残ってないんですかね。

というわけで学内にあふれる豊かな緑ですが、基本的にはすべて35年前に植栽されたものなのですね~。
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「人工的に造成された場所でもコンクリートで固めない限り、豊かな緑を回復する力があることを岐阜大キャンパスの緑地は示している」(自然考より)、納得です。

それではここでちょっと現在の鷭ヶ池を見てみましょう。
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周囲は林に囲まれています。ここが入口かな。

なにか注意書きが。ふむふむ。マンリョウの調査をされているようです。
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お正月に飾られる、赤い実のアレですね。木に止まった小鳥がタネを落としていったのが始まりだったんでしょうか。自然考によりますと、既に生育している植物が、他の植物の侵入や成長を助けることを促進効果というそうです。調査をされている研究室さんの「森林生態学とは」の「森林と公園の違い」も面白いです。

おやこちらには高いやぐらが。
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国際環境科学研究室さんが雨滴観測中なんだそうです。わーどんな研究なんでしょうね~。大学っていろんな研究してるんですねぇ。

池の水面が見えてきました。この時期は鳥も見当たらず、ひっそりしています。
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池の周囲は低木が茂っていて、ヨシやマコモは見当たりません。水も濁ってて水深もありそう。写真で見た昔の鷭ヶ池と全然違うなぁ。。

ニホンイシガメの項でも触れましたが、こちらでは外来カメの調査捕獲中。
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ワナが仕掛けてありました。毎日巡回&確認しているそうです。結構な頻度で捕獲されるんでしょうかね~

外来種といえば、例のライギョが落ちてたのやつはここでしょうか。
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ライギョが歩いてた経緯は不明ですが、キャンパス内にはたくさんの生きものが見られるようです。ではちょっと生きもの探ししてみましょうか。打合せどうなったw

第一村人発見。ネコがいました。
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構内にはたくさんのネコが見られます。岐阜大学ねこサークル、略して「ぎふねこ」という団体もあるようです。糞尿やゴミ荒らしだけでなく、稀少生物の食害など問題の多い野良猫ですが、ぎふねこさんではえさやり・トイレの設置(!)だけでなく、不妊去勢手術を施して長期的には数を減らすことを目指して活動されているそう。手術をしたネコは左耳をカットしてあるんだって。この子は・・・うーんちょうど見えないなぁ。

使われていないプールにはミシシッピアカミミガメの姿が見られました。ウシガエルの声もよく聞こえますね。あと医学部との間の川では時折ヌートリアが見られるそう。
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こちらは大学周辺の川で捕獲されたヌートリアの頭骨です。今年はあちこちでヌートリアをよく見かけましたが、結局岐大では見つけられなかったなぁ。この他、写真は撮れませんでしたがイタチの姿も見られました。ニホンイタチなのかタイリク(チョウセン)イタチかは判別不能。

外来種だけでなく、在来の生きものたちの姿も。4月中旬ですが渡りのカモがまだいますね。ヒドリガモと、あらハシビロガモがいる。
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カルガモ留鳥で、一年中たくさん見られます。鳥類ではチュウサギコサギアオサギなどサギ類の姿も。小鳥は詳しくないのでよくわかりませんが、継続的に調べれば相当な種数が見られるのでしょうねー。

キャンパス内の水路には小さい魚がたくさん見られました。
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なんだろう。。。モツゴかな

ベニシジミがいました。かわいいね。
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タンポポ吸蜜中。ちゅうちゅうちゅう。

ちなみにこのタンポポは、、、、
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在来タンポポでした^^ 基本的に、花の裏っかわの緑色のところ(総苞外片)がこんな感じに上を向いてるのが在来のタンポポで、クリンと丸まって下向きなのが外来タンポポだそうです。それ聞いてから、タンポポの花を見ると無性に裏返したくなるんだよね。

岐阜大学では稀少在来種の保全活動も行われています。こちらはニホンイシガメ・カスミサンショウウオの域外保全地、ご存じ淡水生物園
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カスミもイシガメも順調に増えているようです。子ガメ可愛かったなあ。・・・で結局打合せはどうなったんでしたっけ。。

さて季節は移り変わり、魚類学会年会なども経まして、冬。
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12月上旬です。ケヤキもすっかり葉を落とし、キャンパスには冬の気配が清々しく満ちています。

鷭ヶ池を覗いてみましょう。ウワッ、こりゃすごい!
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春には何もいなかった池の水面にはたくさんの水鳥の姿が!盛んに鳴き交わす声がとても賑やかです。

ヒドリガモがいちばん多いですね。他にはコガモマガモオカヨシガモハシビロガモなど。オナガガモはちょっと遅れてやってくるみたい。あっヨシガモがいる!ヨシガモのオス、ナポレオンの帽子みたいな頭の形がカッコイイんだよね。そしてここにはなぜかカルガモはいません。
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バンのためにと残された鷭ヶ池ですが、水系の閉鎖によって水質や周囲の植生が変わってしまい、結局居なくなってしまったようです。岐阜大学の環境報告書2006には工学部ものづくり技術教育支援センターさんによる鷭ヶ池水質改善の取り組みが載っています。以前はバンだけでなく、オオタカも見られたんですね。

猛禽類といえば、鷭ヶ池で偶然出会った水道山の常連の方から聞いた話。f:id:aquatottotoday:20161224104743j:plain
大学背後の山の中腹あたり、1~2月の厳冬期に双眼鏡で眺めると、ノスリが木に止まっているのが見られることがあるそうです。へぇ!それは見てみたい。居残り組なのか地付きなのか、この辺りで越冬してるんですねー。

はーお腹空いた。ちょうどお昼時です。ちょっと大学の食堂を覗いてみましょうか。学内には第1・第2食堂、医学部食堂のほか、ラーメン専門店もあるみたい。そういえば今はどこでも普通なのでしょうけど構内にコンビニがあるのも時代やなぁ、、、と思いました。
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今日は第2食堂へ。

セルフ方式になってます。以前は定食があったような気がするんだけど。
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おおーカツカレーが410円!さすが大学生協

豚肉の生姜焼きとオクラの巣ごもりたまご、ごはん小とお味噌汁で464円ナリ。おおっ、お財布に優しい。オワコマは少食なので、ごはんこれでも多いくらいです。
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生姜焼きも野菜たっぷりでバランスが取れてます。オクラの巣ごもりもおいしゅうございました。ごちそうさま。さかだちブックスさんによる医学部食堂レポはこちら。機会があったら他の食堂にも行ってみたいですね。

ではお土産でも買って帰りましょうか。大学生協では岐阜大学オリジナルグッズが購入できます。構内でたまに持ってる学生さんを見かけます「岐大トートバッグ」を思わず購入。オレンジは岐大カラーなんだそう。
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岐大どらやきはあんこたっぷりでナイスボリューム。本巣のお菓子屋さんが作っているようです。素敵。岐大のキャラクターらしきアヒルちゃんのメモ帳&ボールペンセットもお買い上げ。五つの学部(教育学部・地域科学部・医学部・ 工学部・応用生物科学部)を象徴して、このカモは正式には5羽いるらしい。カラー版だと緑なのでマガモかも。

こんなんもありました。「岐大飴」。うーん大学でこんなオリジナル商品が買えるとは・・・隔世の感があります。
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お越しの際は記念にぜひどうぞ。

帰路、学内で見かけました。ハクセキレイ、懐こいですね、
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岐阜大学は2004年に「環境に配慮した特色ある活動を継続的に展開し,地域社会に貢献し,地域とともにありつづける大学」として「環境ユニバーシティ」を宣言、研究・社会貢献などの分野での各種取り組みを毎年、環境報告書で発信されています。前述の工学部の研究もその一例ですね。HPで大学本部と5学部それぞれのプロジェクト報告も公開されているよ。応用生物学部がやはり最も熱いですね。一方で工学部のシンプルさよ。

国立大学でありながら卒業式で国歌斉唱拒否という話題が記憶に新しい岐阜大学。学問の府として、国策ではなく地域に寄り添った研究・取り組みをされている大学というのは、地元で環境を守る活動をしている住民にとって非常に心強い存在でしょう。いつの日か鷭ヶ池にバンやオオタカが戻り、甲羅干しするニホンイシガメの列が見られる日がくるかもしれません。期待しましょう。

 

岐阜大キャンパス 30年かけ豊かな緑地に
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.159

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難易度:★☆☆☆☆

f:id:aquatottotoday:20160129153105p:plainコメント:岐阜大学はJR岐阜駅・名鉄岐阜駅より直行バスで約25分。通学時間帯のバスのりばの行列(特に新学期)はYouTubeに動画がアップされるほど有名ですのでお気を付けください。大学内へはどなたでも自由に入構・見学できますが、食堂・生協以外の校舎内への無断立ち入りはご遠慮ください、とのことです。駐車場に限りがあるため、一般の方は自家用車での入構はできません。詳しくは大学HPにて。