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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

豊かさを考える・岐阜市北部の里山

植物 爬虫両生類 甲殻類 貝類 文化

「岐阜の自然考」をめくっていて、とても気になるページがありました。岐阜市内のとある場所についての記述なのですが、「そこは岐阜市北部の静かな場所で、水田や果樹園が広がり澄んだ小川が流れて」いて、「氏神様や炭焼き窯」があり、「オオタニシ」が生息しているらしい。そして何よりそこではヒキガエルの産卵が見られるとのこと。両生類大好きオワコマには聞き捨てならない情報。地名が記されていないことで一層興味がそそられます。これどこなんだろう?行ってみたいな。そんな風にずっと気になってました。f:id:aquatottotoday:20161009100414j:plain

さて今年は1~3月の厳冬期、アカガエル類の産卵地を求めて岐阜市内を中心に各地を精力的に見て回っていました。その折、知人に連れて行ってもらったとある場所。休耕田がビオトープに整備されていてとても良い感じ。アカガエルの産卵期が終わった後も折に触れて訪れていました。

何度目かの訪問の折、ふと気づきました。あっ、ビオトープの入口付近に。f:id:aquatottotoday:20160928173848j:plain
「炭焼き窯がある」!!

湛水している場所をよく見ると、泥の上に幾筋もの一筆描きがうねうねと模様を作っています。
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あっ、これは、、、、、

オオタニシです。
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自然考の中の「気になる場所」は恐らくここに間違いありません。どうやらそうと知らないうちに目的の場所に到達していたようです。

再度改めてビオトープを訪ねた折、近くにお住まいのMさんに色々とお話をお聞きしました。
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子らとザリガニを釣らせていただきました。ステキな環境なのですが例によってアメリカザリガニが繁殖してしまい、ハス田が荒らされて困っておられるそうです。アメザリ、ハスの芽を食べたり、茎を切ったりしちゃうんだそうです。

そういえば、ハスの実って食べられるのよ~とMさん。えっ本当ですか!?知らなかった!
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ちょっと青っぽい感じの若い実が食べ頃。

皮を剥いて、中の白い部分を食べます。
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ホコホコしたピーナッツのような食感。美味しいです!素朴なオヤツ。炊き込みご飯にしても美味しそうです。

ビオトープの上の方は草に覆われていましたが、わずかに残る水場に、初夏モリアオガエルが産卵にやってくるそうです。
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「親ガエル、下に水があることわかるんですね~スゴイですね~」とMさんと一緒に感心することしきり。この木、モリアオガエルのために切らずにおいてあるそうです。

そういえば夏場に覗きに来たとき、下の水場でモリアオガエル見つけましたよ。
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産卵期を終えて、まったりしてたんでしょうかね~。産卵期以外にモリアオを見たことがあまりなかったので、ちょっと嬉しかったです。

産卵といえば春先、お目当てのアズマヒキガエルは見つけられなかったのですが、
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アカガエル(ニホンアカガエルヤマアカガエル)の卵は大量に見られました。これ2月の写真です。アカガエル類は厳冬期に産卵するんですね~。乾田化が進んだ結果、こんな風に冬でも浅く水の溜まっている場所は、今ではとても貴重なんですよね。

ビオトープの脇には山の湧き水の流れる小さな水路があります。
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この水路、かなり古い時代から姿を変えず、ずっと同じところを流れ続けているんだそうです。

ご覧ください、サワガニです。
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この水路に生息しているそうです。ちょっと見ただけで5~6匹いましたよ。カエルやカニ、タニシの他、カワセミの姿も見られました。在来の生きものも頑張っていますね!

歩き回っていたら「ひっつき虫」がたくさんついてました。
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秋ですねぇ。

調べてみたところ、イノコヅチの仲間のようです。このあたりでは「トビツカ」って呼んでるのよ~とMさん。
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「これねぇ、一発でキレイに取る方法があるのよ、知ってみえる?!」とMさん。えっ、ぜひ教えて下さい!

「鎌をね~こうやってこれくらい立てて、服を引っ張りながらこうやって引くとね・・・」
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うわっ!ホントにキレイに取れました。これは気持ちいい。トビツカ以外でも、この方法で取れるそうです。「お年寄りに教わったのよ~」とMさん。先人の知恵は素晴らしいですね。

水路の上にはウラジロがたくさん生えています。「お正月のね、お供えの下に敷くのね~」
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都会ではしおれたのをスーパーで買うしかないウラジロも、青々したのがいくらでも手に入ります。

あとヒノキの葉っぱ「ヒバ」。「松茸とか鮎を人にあげるとき、下に敷くと美味しそうに見えるでしょ~」とMさん。これも無料、タダ。
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そもそもアユ自体が近くの川で釣れ、以前はマツタケも「食べきれないくらいたくさん(Mさんの息子さん談)」山で採れたそうです。コバノミツバツツジの項で少し触れましたが、アカマツの衰退によって、マツタケも採れなくなったそう。残念ですね。

そういえば、ビオトープのそばの墓地の脇に、気になる墓標がありました。「ベルの墓」?
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気になったのでMさんにお聞きしたところ、猿害対策に導入された「モンキードッグ」2頭のうちの1頭のお墓なんだそうです。自然が近いということでやはり獣害は深刻なようですが、モンキードッグはかなり効果が高いそうですよ。現在もベルの同期・リリーが活躍中。皆さんに愛されて、こうして大事に供養されているのですね。

さて少し下ったところにある会所(集会場・公民館)にビオトープと地区のみなさんの歩みが掲示されているということで、見せていただきました。
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ビオトープを中心にして、子供たちが水辺に親しむ様子がまとめられています。ザリガニ釣りや水路での水遊び、手作りの水鉄砲、とても楽しそうですね。

子供たちの、朴葉寿司づくりのレポートもありました。「自分で作るとおいしい。」うんうんそうだよね~
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朴葉はもちろん、すぐ近くに生えている朴の木のもの。「ざいりょう」の中のふきや干しシイタケも、ひょっとしたら地元で採れたものかも。お米は確実にそうですよね。おや、その下に気になるタイトルがありますよ。「にょきにょきそば」?

こちらの地域では毎年みなさんでソバを栽培して、大晦日に年越しソバにして食べる会が催されているそうです。すごーい!100%手作りソバ!絶対美味しいに違いありません。
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いまちょうどソバの花が満開、ということでソバ畑に案内していただくことに。

ソバ畑に向かう途中に通ったMさんのお庭には立派なナツメの木がありました。わーナツメってこんな風に実をつけるんですね、初めて見ました。こちらM家代々に伝わる古木だそうです。
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Mさんのお庭や畑、裏庭には、柿や栗、朴葉の朴の木、ウドやミョウガなど、四季折々に食卓を彩る植物たちがたくさん見られました。

ソバ畑です。興味深いお話をたくさん伺っているうちにすっかり日が暮れてしまいましたが、夕闇の中一面に広がる白いソバの花もなかなか幽玄ですね・・・!と言いつつ「そばがき」の美味しい食べ方をお聞きして、ヨダレじゅるじゅるのオワコマは花より団子かもしれません(笑)
f:id:aquatottotoday:20160928173908j:plainソバだけでなく、山の湧き水で育てられたこちらの地域のお米も大変美味しいそうです。オワコマがいま住んでる場所も都会とはお世辞にも言い難い場所ではありますが、見ず知らずの人が訪ねてきたときに自慢できる「他にはないもの」ってなにかあるかな。山並みを眺めながら「ここの夕焼けは本当にきれいでね~」と目を細めて語って下さったMさんが、羨ましいなぁと感じたオワコマでした。

春の自然散策 美しい花、生き物大切に
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.82

難易度:★☆☆☆☆

f:id:aquatottotoday:20160129153105p:plainコメント:
岐阜市北部の一地区です。ビオトープとその周辺の小川には、記事本文中に紹介した以外にもたくさんの在来の動植物が見られます。春にはタチツボスミレジロボウエンゴサクの花が見られるそうです(自然考本文より)。