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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

食べておいしい外来種(3)・アメリカザリガニ

おいしい外来種シリーズ最終回です。スクミリンゴガイが入ってなくて本当に本当に良かった。最終回となる今回はこちら、アメリカザリガニです。
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自然考によりますと「食用ガエル(ウシガエル)の餌として20匹が神奈川県に持ち込まれ、その子孫が全国に広がったとされている」そうです。今ではバス・ギル・アカミミと並んでキング・オブ・外来種の名を恣(ほしいまま)にしている感のあるアメザリですが、最初はたったの20匹だったんですね。恐ろしや。

 さてでは食材となるアメリカザリガニを集めるとしましょう。近所の田んぼや水路でもよく見かけるのですが、いざ食べるとなると農薬や生活排水が気になります。あ、じゃあザリガニ釣りイベントなんかいいんじゃない?ほらちょうどオアシスパークでやってるやん。

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よく見ると「ザリガニはお持ち帰りできません」ですと。まあ持ち帰って食べる人はまずいないでしょうし、飼いきれなくて遺棄されても困るもんね。イベント用に人工飼料で飼育されてるザリガニを食べるのもちょっとなぁ。

やっぱり駆除も兼ねて自然環境から調達しましょう。ということでヒメコウホネで有名なこちら。
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以前アメザリを見たことがある岐阜市達目洞へやってきました。そうしたらなんということでしょ~!偶然、田んぼを管理されている方とお会いできました。「あのーアメリカザリガニ獲りたいんですけど良いですか?獲って食べたいんですけど良いですか?」と率直にお聞きしてみたところ、「いくらでもどうぞ!」と快諾いただけました。ありがとうございます! 「ここ(達目洞)の田んぼは無農薬だし水は湧き水だから、食べるならもってこいだよ~」とのこと。ご厚意に感謝です!よっしゃ~獲るぞ~。

翌週。早速子らとやってきました。
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実はオワコマ、今までザリガニ釣りやったことありません。見たことはあるけど 釣れるかな。

エサは「さきいか」です。タコ糸に結びつけます。
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通りすがりの方いわく「ぼくらが子どもの頃はね~まず1匹獲って、その身をエサに釣ってたよ」とのこと。なるほどそれなら完全無料ですね、素晴らしい。最初の1匹を獲るのが大変そうですが。そういえばカエル派の人もいたような。

あ居た居たー。
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すぐに見つかりました。真っ赤なので目立つこと。

竿はあってもなくても良いようですが、小さい子どもさんが釣る場合はあった方が良いかも。
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オワコマは園芸用の支柱使いました。その辺に落ちてる枝とかでもいいですよね。

目の前にエサを落としてやると、
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うわ、間髪置かずにハサミで掴みかかりました!そーっと引っ張ると、

釣れました。
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なんて簡単なんだ!

基本的に、見えてるやつはエサを近づけるだけで簡単に釣れます。魚と逆だね。
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見えていなくても、潜んでいそうな場所に適当にエサを落とすと次から次へとゾロゾロ出て来ます。・・・喜んでいいのか。

あらダブルゲット。
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小さいやつとかメスは掴む力が弱くてすぐエサを離しちゃうので釣りにくいですね。大きなオスほどご馳走に対する執着力が強い感じで、釣り上げられて明らかにヤバい状況なのに、掴まれて引っ張っられてもなかなかハサミを離さなかったりします。いいですねぇオワコマも人生に一度でいいからそれくらい異性に執着されてみたいね

一時間くらいでこんなに釣れました。その数、合計19匹!
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持ち帰って水道水で洗い、何度か水を換えながら泥を吐かせます。獲った場所によっては泥抜きに一週間もかける場合もあるようですが、今回は基本的に水のきれいなところなので一晩でいいいかな?匂ってみて生臭くなければOKとの説も有り、実際翌朝には水の濁りもなく、ほとんど無臭になってました。さすが平成の名水百選・達目洞

では調理開始。19匹のうち12匹をボイルします。
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生きたまま熱湯にドボン(-人-)ナムゥ 一瞬で鮮やかな赤色に。

身が固く縮んでしまうので、ざっと火が通ったら上げます。
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キッチンに漂う甘芳ばしい香りは・・・エビ!海老だよこれ絶対!

殻を剥いて尾身を取り出します。あんなに立派なアメザリも、可食部はたったのこれだけ。
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このまま食べてみました。プリプリの食感はまさにエビそのもの。エビほどの甘みはありませんが、生臭さは全く無いです。アメザリ美味しい。

では剥いたザリガニの身でまずは一品作りましょう。
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材料はこんな感じ。

じゃん。1品目、アメリカザリガニのトマトクリームパスタでございます。
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うーん小エビにしか見えない。これは美味しそう。

剥いた後の殻、もったいないですね。
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ひょっとしてこれ食べられるんじゃないでしょうか。

という訳で低温(160℃くらい)の油でじっくり揚げてみます。
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バンバン爆発して油がはねまくるくらいまでじっくりと。

2品目、アメリカザリガニの頭の唐揚げです。
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全体に塩をまぶして。

さて残りのザリガニ。実は大好きな奥泉光さんの著書『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2・黄色い水着の謎』に、貧困にあえぐ主人公の准教授・桑潟幸一ことクワコー先生が、近所の池でアメザリを獲ってきて食べる、という、本筋にはまっっったく関係無いのに大変印象的なエピソードがあります。
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著者の奥泉さんが実際やってみたっぽい臨場感があり出色。今回はこちらを再現してみましょう。小説にならって7匹を使います。

中華鍋に油と刻んだニンニクを入れ、熱したところにザリガニを生きたまま投入、即フタをします。
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「鍋蓋を押さえた手にがつんがつんと衝撃が伝わるのが恐い。が、喰うためには致し方ない。ザリガニ、すまん」とあり少々怯えましたが、実際にはそんなことはなく速やかに昇天された模様。クワコー先生はこのあと一旦弱火にして、火を通すのに菜箸を使ってましたが、フライ返しが便利です。あとニンニクはすごく焦げるので、油に香りが移ったら、一旦取り出しておいて後で戻した方が良いです。たぶん。

というわけで3品目できました。アメリカザリガニのスタイリッシュ風ガーリックソテーです。
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「スタイリッシュ」は本の題名からね。

では頂きましょ~。
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トマトクリームパスタは特にザリガニ感もなく、普通に美味しかったです。ガーリックソテーがかなりいけます!殻パリパリで丸ごと食べれます!!クワコー先生いわく「手に持って頭からばりばり囓れば、香ばしさと肉の甘みが一つになって、感動に目が潤んでくる。至福、まさに至福だ」。唐揚げも香ばしくてお酒のお供に良い感じ。自然考では「高温の油で揚げれば殻ごと食べられるらしい」と伝聞表現なので、執筆者の方は食べていらっしゃらない模様。意外と保守的な方なのかな。フフフ、アメザリの殻、全然美味しく頂けますよ?・・・まあオスのハサミ、食べれないことはないですが、胃が悪い方は外した方が良いでしょう。同じ理由でまるごとソテーもハサミの小さいメスがおすすめ。

なるほど~基本的に小エビと同じ調理法で良いのだな。ではもうちょっと試してみましょうか。
f:id:aquatottotoday:20160912145925j:plainというわけでまた獲ってきました\(^o^)/ 今回は8匹(うち1匹はお亡くなりに)。

全頭をボイル。前回は揚げてしまったハサミですが、大きいやつは殻を割ると結構身が詰まってました。
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もったいないのでこちらも穿(ほじく)って頂きましょう。

4品目。自然考で紹介されてたアメリカザリガニのアヒージョでございます。
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ハサミの端肉はこちらに投入してます。オーブントースターで作りました。んーいいニオイ。

5品目。アメリカザリガニの生春巻きでございます。
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おお海老より紅白が鮮やかな分、なかなか見た目も華やかで美しいではないですか。これ環境保全に携わる人の集まりなんかに差し入れしたらウケそうです。

どちらもたいへん美味しかったです。とくにアヒージョはおすすめ。数的には10匹くらいは欲しいところでしたがw
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というわけで厄介者の外来種、今回も大変美味しく頂くことができました。「欧米ではアメリカザリガニは高級食材」(自然考より)だそうですので、キレイな水場で獲ったものは話の種としても、みなさんぜひ一度お試しください♪ 
 

アメリカザリガニ 家庭科の教材に活用を
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.185

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難易度:★★☆☆☆

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岐阜市自然環境の保全に関する条例により、達目洞は特別保全地区に、ヒメコウホネは貴重野生動植物種に指定されています。見学の際はヒメコウホネの生育場所を荒らさないように注意しましょう。ザリガニ釣りの際は 達目洞自然の会さんに連絡を。なお愛知県岩倉市ビオトープ岩倉市自然生態園では手軽にアメリカザリガニを釣ることができます。釣ったザリガニはリリース禁止&持ち帰り推奨(あるいは回収容器に投入)ですので、食べてみたい方はこちらもおすすめ。但しお召し上がりの際には十分火を通してください。