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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

騒がしい花たち・サギのコロニー

水を張った田んぼや河川でよく見られる「シラサギ」。実はシラサギという名の鳥はいない、というのはきっとみなさんご存じかと思います。
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一般にシラサギと呼ばれているが、体の大きさからダイサギチュウサギコサギと区別される」(自然考より)。岐阜市内ではこの3種に加えて、アオサギアマサギゴイサギの6種類のサギが見られるそうです。折しもサギの繁殖期。写真は水族館のコサギです。飾り羽と、目元のピンクの婚姻色がキレイですね。では今回はサギのコロニー(集団営巣地)をテーマに掘り下げてみましょう。

 

自然考の記述によると、「(サギのコロニーは岐阜市近郊では各務原市内にある」そうな。調べてみると旧川島町のようです。めっちゃ近所。試しに義父に聞いてみたところ、「あ~いたいた、昔よく見に行ってたよ~」とのこと。な~んだ今回は楽勝だね。ではさっそく行ってみましょう。
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・・・いません。全然いません。川島大橋から各務原大橋まで約1.5km歩きましたがサギの一羽も見かけませんでした。

え~場所が違うのかなぁ?もういなくなったとか??
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地元の方に聞くのが一番です。というわけでじゃん。「各務原市木曽川文化資料館」。ここならなにか教えてもらえそう。

こんな冊子を見せて頂きました。『川島町民会館竣工記念・川島町とその周辺の野鳥』。昭和58年4月発行。
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当時は各務原市ではなく、羽島郡川島町。コサギの項に「本町では松倉町の松林にダイサギチュウサギアマサギゴイサギササゴイとともにコロニーをつくっています。」とあります。やっぱりあったんだー!対応して頂いた4F文化資料館の職員の方は地元住民ではないそうで、「下に詳しい人が居ますよ^^」と教えて頂き、受付へ。

なんという偶然、受付でたまたま声をおかけした職員の方、野鳥の会の方で、自然考のこの項の執筆者・大塚さんともお知り合いの様子でした。上の冊子の制作に関わっておられたのかも?川島の自然と歴史に関する話がすんごく面白くて聞き入ってしまいました。f:id:aquatottotoday:20160604064934j:plain
「大体このあたりでしたね~」。コロニーがあったのは大体20年前。当時は松林でしたが造成され、今は宅地や工場になっているようです。

このあたりでしょうか。確かに開発されてますけど、周囲にはまだ竹や松の雑木林がたくさん残っています。いくらでも営巣できそうなのに、サギがいなくなったのは不思議です。
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実は旧川島町時代に例の「ふるさと創生一億円」で営巣地を買い取るなど保護に向けた動きもあったようですが、各務原市との合併でうやむやになったとか。周囲に住宅地が造成されたため、悪臭や騒音などで住民との軋轢もあったようですが、行政で積極的に追い出しをしたのかどうかは不明。

そっかー、川島のコロニーなくなっちゃったのかー。他に思い当たるところと言えば、じゃん。東名阪自動車道の、蟹江ICおよび弥富ICのループ内愛知県ですが
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夏場にここ通ったことある人は恐らくご存じですよね。周りをぐるっと道路に囲まれた樹林帯がサギ類のサンクチュアリみたいになっています。白い鳥が花のように無数に散らばっていて、ドライバーの目を引きます。

というか上の写真、ひとりで運転しながら写真撮るのはさすがに無理なので、
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こんな感じで即席ドライブレコーダーを作って流し撮りして切り出しました。ハッハッハッ。

人の生活圏から閉め出されたサギたちが辿り着いた楽園。周囲は一面、餌場となる田んぼです。
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弥富ICそばの県道より。ゴイサギチュウサギがたくさんいますね。巣作り中、抱卵中?のサギも。

この場所は、2010年にNEXCO中日本、愛知県弥富野鳥園、日本野鳥の会愛知県支部が連携して保全して行くという覚書が取り交わされ、色々な取り組みがされています。こちらの資料が詳しいです、NEXCOやるな。その取り組みの中のひとつ、野鳥の会愛知県支部の「サギのコロニー調査」。一般人でもOKとのことで参加してきました。
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日没前の一時間半、コロニーに帰って来るサギ6種類を識別しながらカウントするという調査。開始前に蟹江公民館分館に集まって、サギの識別勉強会です。和気あいあい、楽しい雰囲気。中には小学生の姿も。

アオサギゴイサギは良いとして、問題は白いやつら4種。ちなみにアマサギも、婚期を過ぎるとなんとまっ白になってしまうそう。クチバシの色も変化している途中だったりと、なかなか図鑑で見るような「典型的な姿」ばかりではなさそうです。
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しかも相手は上空を飛んで来ますからね~。

そこで編み出されたのが「佐久間式3段階識別法」。佐久間さんは愛知県支部の会計の方。第1段階は「羽ばたきの速さ」。最初にこれで4種を2グループに分けます。羽ばたきの速さだけなら、かなり離れた場所からでも分かるもんね。
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数字だけ見るとえっ、そんなに違わないやん!?と思われるかもしれませんが、動画で見ると確かに違う。コサギアマサギなどは下まで振り切らずにパタパタ・セカセカした感じ。

第2段階「クチバシの長さ」。ゆっくりはばたくグループで相対的にクチバシが長いのはダイサギ、短いのがチュウサギ。パタパタ・グループでクチバシが長いのがコサギ、短いのがアマサギ。そして最後に「全体の印象・バランス」で決定します。
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超マニアック・サギの識別うちわ頂きましたw まあ、なかなかこんな風に真横からばかり見れる訳じゃないですけど、全体のシルエットは大事な手がかりです。

他にも色々とサギに関する話題が聞けて、勉強になります。こちらはJRAの弥富トレーニングセンター内のコロニー。ドローンで撮影したそうです。200近く営巣しているそうな。
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他にも、高速ループの保全区域内に呼び戻すためのデコイを米アマゾン経由で輸入&アオサギアマサギカラーに塗装など、いろいろな取り組みのお話を聞けました。野鳥の会の進取の精神、機動力・組織力の高さは凄いですね、驚きました。

勉強会も終わったところで調査スタートです。オワコマは蟹江グループ。5つの調査ポイントのうち好きなところ選んでいいよ~と言われたので、敢えて最もたくさん飛来するコースを選択。無謀です。
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というか、各班にベテラン調査員がついてくださるので心配不要です。画面右側がコロニー。隣りの班と境界を決めて、ねぐらに戻ってくるサギを識別・カウントします。17時30分から、日没の19時まで。よーいスタート!


・・・ぜんぜんわかりません。
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ちなみにこれはチュウサギアオサギゴイサギはすぐにわかりますが、難しいのがダイサギチュウサギの区別。リーダーのSさんは裸眼でバンバン見分けていきます。いまの時期はまだ少ないそうで、Sさんは最高で700羽をひとりで識別・カウントしたそうな。Sugeeeee!!

調査結果です。記入は「正の字」でなく、算用数字を羅列してあとで足します。確かに正の字なんか書いてる場合じゃない。
f:id:aquatottotoday:20160604064947j:plain蟹江・弥富ICのループ内と飛来数を合わせて、今回の総個体数は1400羽!通例、NEXCOさんの黄色いパトカーに乗せて貰って高速ループ内にいる成鳥・幼鳥もカウントするそうなのですが、今回は伊勢志摩サミットで出払ってしまったため、写真による簡易計測。カウント漏れを考慮するとほぼ平年並みのようです。デコイの効果もあったよう。まとめは愛知県支部さんのブログにて。オワコマ写ってるw

さて他のコロニーも見に行ってみましょう。愛知県支部さんのHPに県内のコロニーが載ってます。ちょっと名古屋に行く用事があったので、緑区伝治山。
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(例によって)突発的に行ったので正確な場所が分からなかったのですが、白い鳥がひっきりなしに出入りするポイントを目指して歩いたら、難なく辿り着きました。鳴海アピタのすぐ横、住宅街の中に取り残されたような雑木林。周り、田んぼなんか全く無いのですがどこでエサをとってるんでしょうね~。非常に不思議。

民有地のようで中には入れませんが、覗いてみるとサギの巣がいっぱい!
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絶え間ない鳴き声もすごいです。

アマサギです。美しい亜麻色!
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ヒナにエサをねだられてる様子も見られました。
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チュウサギですかね~。ヒナ、頭フワフワで可愛いですね♪

続いて、稲沢。矢合観音で有名な矢合地区。
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こちらも住宅街の一角です。小学校のすぐそば。

いますいます、たくさんいます!写真はチュウサギコサギかな。
f:id:aquatottotoday:20160604064953j:plainこちらも林の中にたくさん営巣しているようで、とにかく騒々しい。

おや。目の前でおっぱじめましたよ。
f:id:aquatottotoday:20160604064954j:plain交尾してる~

巣材を運ぶコサギ
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戻ってくるサギたちの6割ぐらいが、なんらかの巣材をくわえていました。

ダイサギかな。アオサギとか大型の種は、木のてっぺんに営巣するような気がします。
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ここだけでなく他の場所もですが、とにかくサギのコロニーのあるところでは必ず「ダイ・チュウ・コ・アマ・アオ・ゴイ」の6種が見られるのが面白いですね。

しかしやはりコロニーの周辺、糞がスゴイです。道路や草が真っ白。そしてなんだか生臭い。。
f:id:aquatottotoday:20160604064957j:plain矢合では小学校に隣接しているため、プールが汚れて困っているそうです。確かにこれは大変。あと鳴き声もかなり騒がしいです。サギの仲間は夜中でも大声で叫びますよね、ゴイサギはもともと夜行性だしね。

もっと山とか自然ぽいところもあるのに、わざわざ人工物のそばを営巣地に選んでいるのか、たまたまそうなのかよく分かりません。蟹江・弥富ICでも、車との接触事故を減らすための取り組みがいろいろとされているようです。鳥飛来注意の看板と、フェンスの上の黒いのは、サギがとまれないようにするためのガードです。
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野生動物と人との共存はなかなか難しいですね。追われて追われてどこへ行くのか。ちなみにチュウサギ岐阜市では普通種のようですが、環境省レッドリストでは準絶滅危惧種

おまけ。鷺山登山編。
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自然考のサギの項で「おそらく昔はサギのコロニーがあったのであろう」と締めくくりに登場する山です。金華山の山頂からの眺め。標高68m、山というか、丘?ちゃんと調べていませんが岐阜市最低峰かも。

低いながらも展望が良く、古来から要衝として、城跡が築かれていたようです。
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斎藤道三の最後の隠居城、長良川の戦いの後、廃城となったそうな。・・・長良川の戦い!

では登ってみませう。登山口はいっぱいあるようです。
f:id:aquatottotoday:20160604065001j:plain今回は鷺山公民館の横から。

着きました。5分で登頂。
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こんなにあっという間に達してしまうとは、初体験もかくや。

山頂からの眺め。金華山岐阜城が見えます。
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サギはいませんでした。住宅街に囲まれた一画、サギのコロニーとして好まれそうな感じではあります。時を超え、巡り巡ってひょっとしてまたここに・・・・・・?

 

サギ 数種が同じ場所で繁殖
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.160

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難易度:★★☆☆☆

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日本野鳥の会愛知県支部のサギのコロニー調査は毎年5~8月の最終土曜日。事前に勉強会があり、素人でも楽しく観察できます。「ちょっとかわった探鳥会くらいの気持ちで参加いただければ」とのこと。申込はメールなどで、詳細はコロニー調査HPにて。虫除けは必須です。各コロニーを観察の際は、子育て中のサギを刺激しないように気をつけましょう。岐阜市鷺山はマーサ21のすぐそば。ルートが多数あるので、登ってきた道が分からなくなる可能性アリ(というか、思い切り間違えた)。注意が必要。