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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

つながるつながる孤独な群衆・ヒトツバ

金華山登山道を歩いていると目に付く植物のひとつに「ヒトツバ」があります。わたくし基本的に寒い時期しか登らない(暑いの苦手)ので、落葉の時期、常緑のこのヒトツバの福々しいぽってりした艶やかな緑は際立って目に飛び込んで来ます。
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葉っぱが1枚、唐突に地面から生えているように見えることから「ヒトツバ」と呼ばれているようです。

 

かの俳聖松尾芭蕉も「夏来ても ただ一つ葉の一葉(ひとは)かな」と詠んでいます。夏が来て他の植物たちが旺盛に葉を茂らせているのにヒトツバは冬の姿のまま一葉のである、ワタシの境遇に似て寂しいなあ孤独だなあというような意味のよう。芭蕉、岐阜滞在中に詠んだ句だそうで、岐阜市久宝寺境内に句碑があります。
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この句碑の周りですが、

ワァ~オ。ヒトツバだらけです。
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「自然考」によると「先の尖った細長い匍匐茎で一繋がりになり、いったいどこまでが同じ個体なのか、まずもって分からない」そう。確かに大体こんな感じで、ヒトツバってブワッと群生していますよね。う~ん。あんまり孤独感ないんだけど。。。芭蕉の句、もっと奥が深いんだろうか。リースマンの『孤独な群衆』を260年も前に先取りしてるんだろうか。


その名の通り一枚だけ葉を出しているように見えますが、よく観察するとこんな風に繋がってます。
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万国旗のようw

新芽を見ると、匍匐茎が岩の上を伸びて増殖していくようすがよく分かります。
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こうやって、気に入った場所でどんどん増殖していくんですね~

ぎふネイチャーネットさんのHPによると、金華山・七曲り登山道の山頂付近に群生地があるようです。オワコマ家、七曲り登山道は未踏です。では行ってみましょう。
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賢明な自然考読者の方にはひょっとするとこの看板の画像を見ただけで何が起こったのかお分かりになったかも知れませんが、はいイエス。そうです、オワコマ親子ここを右に曲がって迷子になりました。

この七曲り登山道はかつて岐阜城の大手道として使われていた歴史の古い道だそうで、石垣や手作業で削った岩場、城までの道標など、各所に往事を忍ばせる遺構が見られ、大変興味深いです。
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興味深いんですが、、、

途中から山頂まで延々と「石段」の連続になります。
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歩きやすい、歩きやすいんだけどね、、、、、、、だんだんウンザリしてきちゃいます。

視界が開けてくる頃、
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あーありました。上の方、なんかすごいぞ。

ウワー!ヒトツバの大群落です!
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岩場の斜面、ヒトツバだらけ!!!!このヒトツバ、岩場や絶壁など、他の植物が生育できないような過酷な場所を好み、そういうニッチを独占して繁栄しています。

こちらは樹に生えたヒトツバ。
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こういう生え方は珍しくて、大概、日当たりの良い乾いた岩場の上の方に密生してます。

石灯籠の上にブワーッと盛り上がってるのを見つけたりすると、「ヒトツバってホント高いとこ好きだよね変わってるよね」と感心するやらおかしいやら。住み分けてるというか、生存競争の結果なんですね。アカマツシデコブシ、ヘビノボラズなんかと似たものを感じますね。
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土なんか全然ないような、硬い岩盤でもへっちゃら。むしろ大好き。どんどん増えちゃう。逞しいです!

例えば金華山ロープウェーから対岸の絶壁を臨むと、
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ご覧ください、岩肌にヒトツバの群落がこんもりと・・・!

さてそういえば前述のぎふネイチャーネットさんのHPで鼻高登山道の項をよく見ると、「絶壁のヒトツバ」という気になる記述が見られます。では実際に見に行ってみましょう。
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もう看板だけでビビります。そういえば小さい頃、「チカン注意!」の看板がチカン以前に恐ろしかったなぁ。。

はい来ました例のコレです。右側、崖です。足を滑らせれば長良川に真っ逆さま(なようにオワコマには感じられる)。
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あぁっ、怖い、あぁっ、ヒトツバめっちゃ生えてるぽい、あぁっ、怖くて覗けない、片手離せないカメラ持てない、ああ、うぅ、、、
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これくらいが限界。

はるか下の方に長良川が見えます。吸い込まれそうです。鼻高ヤバい。
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自然考には「こういった(註:ヒトツバの群生している)場所は概して景色の良い場所が多く、その眺望の方に目が行ってしまいがちではあるが、ときには足元にびっしりと並んだヒトツバの姿を楽しんでみてはどうであろうか」と呑気なことが書いてありますが、むしろ眺望見たくない。ヒトツバだけに集中したい。

山頂手前の建物のとこ。これは怖がってる人を見るとわざと驚かせて喜ぶタイプの人とは絶対に行きたくない・・・!
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オワコマ、苛められて喜ぶのは夜だけです。

擦りむいた。
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嫌な汗をかきまくった割に、大した写真が撮れてなくてガッカリ。

ヒトツバを見るために山登りしたくないわ、って人に朗報。岐阜公園の東屋に、
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ウワー!ヒトツバもっさもさではないか!
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このヒトツバ、裏側を見ると赤茶色になってる葉とそうでない葉の2種類あるのがわかります。
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赤茶色のは「胞子のう群(ソーラス)」を持つ、いわゆる胞子葉。ヒトツバの胞子葉は胞子嚢を持たない光合成担当の栄養葉に比べてスレンダー。
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ウラボシ科の「ウラボシ」ってこのまるい胞子嚢群がいっぱい並んでるとこからきたそうです。同じウラボシ科には、自然考旅ではヒワイな木の愛称でお馴染みのノキシノブがあります。

もっとお手軽にヒトツバが見れる場所。じゃん。世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ。
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陽光溢れる4F長良川上流フロアの植栽の中に、f:id:aquatottotoday:20160505050859j:plain

ヒトツバありました\(^o^)/
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擬岩ですが、ちゃんと本来の生息状況を再現してあって感心しますね♪

水族館にお越しの際は探して見てください♪

ヒトツバ 岩肌に緑色のじゅうたん
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.115

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難易度:★☆☆☆☆

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金華山登山道では中腹から山頂にかけて、一年中いたるところで見られます。日当たりの良い岩の上を好むようです。七曲り登山道の山頂近くに特に大きな群落あり。岐阜市内では金華山の他に伊奈波神社、ながら川ふれあいの森、百々ケ峰などで見られるそうです。