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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

食べておいしい外来種(1)・ヌートリア

おととし(2014年)の話。オワコマ家カエル部、冬期に近所の田んぼで「冬眠中のナゴヤダルマガエルを見つけよう会」を催した際、部員見習いの長男(当時小学二年生・いきもの苦手)が「ママー!カバみたいなのがいたー!」と言ったことがありました。オワコマ及びカエル部のエース・7歳(女子)はカエル探しに夢中で見ていなかったのですが、恐らくそれは「ヌートリア」。水辺に親しんでいらっしゃる自然考読者の方はきっとご存じですよね。f:id:aquatottotoday:20160422175326j:plain
米原産のネズミの仲間です。「明治の終わり、動物園に展示目的で輸入」され、第二次大戦中に毛皮を取る目的で養殖が拡大するも、戦後、需要縮小により放逐され、いまでは特定外来生物です。上の画像は岐阜市達目洞にて、多分ヌートリアを獲るための箱ワナ。「後ろ足に水かきを持ち、泳ぎが得意で長く潜水できる。オレンジの色をした大きな前歯も特徴的。池や沼など川辺に生息し、岸辺の土手に巣穴を掘る」(以上、カッコ内は自然考より)。大阪の千里川など都会でも目撃例があるようですが、実は最近まで見たことがありませんでした。時々「カピバラが居る!」と水族館に通報があるそうなので、思ったより認知度低いのかも?

 

そんなある日のこと。各務原市内を車で走行中、運転していた友人が突然、「あっヌートリアじゃん!!」と声を上げました。車を止めて近寄って見ると、交通量の多い道路と駐車場に囲まれた狭い休耕田に、
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あぁっ、居ました、ヌートリアです!人生初ヌートリア!カメラカメラ!!

思ったより小さーい!シッポが見えないと、うん、これはカピバラと間違えるかもね。
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友人と挟み撃ちでそーっと近寄ります。い、意外とドンくさいな。。というか、図太い?

カピバラに比べるとツヤツヤした感じの毛皮です。表面の毛はちょっと硬そう?これで防寒用の毛皮になるのかな~??
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っていうか、近い。近いよ。これ望遠レンズじゃないんだけど。

実際これくらいの距離でした。一瞬、捕まえれるかも?という思いが頭をよぎったのですが、このときグローブ持ってませんでした。噛まれたらやだし。ちょっといい靴だったので汚したくなかったし。いやそれ以前に許可なく哺乳類を獲ってはいけません。
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この後ヌートリアはスキを見て逃走、最後は水路に消えたようです。泳ぐとこ見てなかった。そしてオワコマは全身ひっつき虫(センダングサのタネ)まみれになってて友人に笑われました。ちなみにいい靴だったのは、お花見予定だったからです。

さて突然の邂逅からしばらく経ったある日。
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仕事の打合せで岐阜大学へやってきました。

ヌートリアといえば去年、CBCテレビの夕方のニュース番組「イッポウ」で「食べみたら意外と美味しい」という話が紹介されてました。
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そのとき登場した研究室が、この日のクライアント。ちなみにクライアントはわな猟の狩猟免許をお持ちなのでヌートリア捕獲できます。

以前から、ヌートリアの肉・略して「ヌー肉」をあげるあげると言われてたのですが、ちょうど良い機会なので頂くことにしました。ありがとうございます。f:id:aquatottotoday:20160423045625j:plain
ていうか思いっきり執筆者の方(P.178「メダカとヌートリア"同居人"対照的な扱い」)なのでルール違反ですがまあしょうがない。今回は梶浦さんの方の記事ってことで無理やりセーフにしましょう。ちょっと苦しいね。

じゃん。こちらがヌー肉になります。骨付きもも肉。鶏のもも肉に似てますね。大きさも同じくらい。骨は鶏よりかなり細い。f:id:aquatottotoday:20160422175334j:plain頂いた時はカチンカチンに凍ってました。これで半解凍くらい。クンクンしてみましたが特にニオイはなし。

研究室の倉庫に頭骨がありました。この肉の持ち主だった方でしょうか。(-人-)ナムゥ
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見て下さいこの歯!この色!これエナメル質に含まれる鉄分なんだそうです。ビーバーもこんな色なんだって。しかしあのとき手を出さなくてよかった、これは噛まれたくない。

毛皮も見せて頂きました。メッチャ手触りよくてビックリ。特に内側の柔らかい毛(産毛、アンダーコート)、フワッフワです。
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カピバラみたいなもんだろうと思ってました。なんで毛皮になるんだ?と。触ってみて納得です。カピバラと全然違います。似たような生息地なのに不思議。

せっかくなのでヌートリア探してみましょう。大学の横の伊自良川で目撃例があるようです。打合せですか?ちゃんと10分くらいしましたよ。なに言ってるんですか仕事で来たんです、仕事で。
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うーんいかにも居そうなんだけど、見当たりません。動物園じゃないし、そんなにいつでも見られるもんじゃないのか。

岸を歩いていたら、おっ!タヌキのためフン場発見ー!
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画像は自主規制しますが、カキの種と、なぜか未消化のヤドリギの実が大量に見られました。そしてよく見ると、ヌートリアの毛がみっしりのものも。研究室で見てきたので間違いありません。死肉を食べたんでしょうかね~

ずいぶん歩いてしまいました。あっ、この橋はひょっとして・・・!
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ここ?
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キャプチャ画面はあるのですが録画自体は消してしまったのでよくわかんないんですけど、伊自良川じゃなくて鳥羽川だったのかな?

では実際に食べてみましょう。番組に倣ってまずは取りあえずシンプルに塩胡椒でソテーします。
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火の通りをよくするため、骨の際まで両面ともしっかり切り込みを入れておきましょう。食感は鶏肉に似てると言われますが、包丁を入れた感じや弾力も、とても良く似ています。

サラダ油を熱してフライパンで焼いていきます。
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フライ返しで押さえて焼き目をつけます。重しがあるといいんだけどね。

片面焼けました。
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んーいいニオイだ~。香りも見た目も四つ足っぽくなってきました。

両面に焦げ目が付いたら、酒をふってふたをし、中まで火を通すため弱火で蒸し焼きに。オーブンがあれば、そちらでも。
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中の水分が無くなったら、

はいできあがり~
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ヌートリアの骨つきもものソテーでごさいます。


いやー美味しいです!塩胡椒だけで十分!鶏と獣肉を足して2で割ったような不思議な食感&味です。オワコマ家、縁あって以前シカ肉をよく頂いてたのですが、シカよりよっぽどクセが無くて食べやすいです。BBQで炭火焼きにしたらウマイに違いない。
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見てくださいこのしっかりした繊維。表面は豚肉っぽいのに、不思議でしょ。脂も少なくてヘルシー。

完食~。ごちそうさまでした(-人-)
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下ごしらえの時に見逃した毛を食べてしまい、口に残ってたのに気づいて「ごめんちょっと口の中に毛が」という脳内の呟きに耳まで真っ赤になるところ、さすがに研ぎ澄まされた妄想力の持ち主です。

ソテーだけだとなんか料理できない人みたいに思われそうなのでもう一品。番組ではシチューでしたが、トマト煮込み作ってみましょう。
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材料はこんなかんじ。肉質が少ないのでベーコン足しましたw

小麦粉をふったヌー肉は刻みにんにくと共にオリーブオイルで焼いて、一旦出しときます。そのあと同じ鍋で他の材料を炒めます。この後たぶん普通ワインなんでしょうけど在庫を飲んでしまったが無かったので料理酒で代用。
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ヌー肉を戻してトマト缶&コンソメ投入。塩胡椒で味付け。砂糖を多めに入れると美味しいです。

圧力鍋で10分加圧。
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トマト煮込みできました。ヌー肉ホロホロで、我ながら絶品~ん
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子らに「ヌートリア食べる?ネズミだけど食べる?」と聞いたら「食べる食べるー!」と、いきもの大好きの7歳女子まで目を輝かせたのでびっくり。子どもはやっぱり先入観なくて自由ですね。

ジビエ料理のお店で扱っているところもあるようです。クセがなさ過ぎてジビエというには物足りないかもしれませんが、興味のある方は機会がありましたら食べてみてください♪

 

ヌートリア 二度の戦争の「被害者」
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.167
メダカとヌートリア "同居人"対照的な扱い
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.178

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難易度:★★★☆☆

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岐阜市内ではほぼ全ての河川周辺で姿を見せる」そうです。岐阜大学周辺で目撃例多数。許可なく捕獲することは禁止されています。