読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

PとTの間には・金華山の黒色泥岩

地形・地質

みなさん金華山登ったことありますか。わたしが初めて登ったのは3年前で、今でも年数回ペースで登ります。標高329m、健脚の方なら直登30分くらいで登れます。ハイヒールで彼氏さんに連れられて登ってくる女の子、スーツにネクタイのビジネスマン、背負子に赤児をのっけた若いパパ、カモシカのように全速力で駆け抜ける若人、山頂にお殿様etc・・・面白い山です。f:id:aquatottotoday:20160401134127j:plain
金華山登山道といえば、どのルートでもこんな光景がお馴染みですね。

 

赤白のシマシマ層状チャートというそうです。
f:id:aquatottotoday:20160401134128j:plain
「チャートは細かい石英粒子が集まった緻密な堆積岩で、そのもとは放散虫という微生物の遺骸が海底に堆積してできたもの」(自然考より)だそうです。非常に硬いため、昔は火打ち石として使われたそうな。

こちらは山頂の遊歩道沿い。こんな風に褶曲(しゅうきょく)している場所も、金華山ではあちこちに見られます。
f:id:aquatottotoday:20160401134129j:plain
太古の地球のダイナミックな営みが感じられますね♪

さてそんな金華山にも一箇所だけ、赤白の層状チャートではない層が見られる場所があるといいます。それは「岐阜公園から七曲登山道を登って」「岩戸公園からの登山道と合流する中間地点」を「岩戸公園の方に折れる」(カッコ内は自然考より)ところにあるそうな。f:id:aquatottotoday:20160401134130j:plain
親切な地図看板がありました。これを見れば、どこにあるのかすぐわかりますね。まあこれ、辿り着いた現場にあるんですけどね。。

ちょっと迷ったので常連ぽい登山者の方に尋ねてみたのですが、誰もご存じありませんでした。自然考の「意外と知られていない」の言葉通りです。
f:id:aquatottotoday:20160401134131j:plain
左奥が、七曲登山道の山頂方面。石段が延々と続きますが、お散歩感覚で登れる登山道。この分岐点の右手の、舗装されてない切り通しを「岩戸公園方面」の看板に従って進むと、

おっ、ありました!切り通しの、特に山頂側の斜面、これまで見てきたチャート層となんだか色が違います。
f:id:aquatottotoday:20160401134132j:plain
そー!こちらが目的の「金華山の黒色泥岩」です。

おおおぉぉぉぉぉマジで黒い!ほかの場所と全然違う!!
金華山の黒色泥岩
そしてこれ、ただの黒い岩じゃありません。生物史上、最も大きな絶滅事件を記録した岩なんだそうです。なんだってー!

今から2億5千万年ほど前の古生代末期に、地球上のいきものの70%、海に到っては96%の種が絶滅するという大事件が起こりました。古生代ペルム紀(Permian)から中生代三畳紀 (Triassic)に到る間の出来事だったので、この境目は「P-T境界」と呼ばれています。P-T境界、なんか聞いたことありますね。
金華山の黒色泥岩
一斉絶滅の根本原因となる環境変化についてはいまでも議論が続いているようですが、この黒い色、酸素欠乏状態のために分解されなかった有機物に由来するそうです。つまりこの地層が作られた頃は全地球的に酸素欠乏状態だったのでは?と推定されるんですね。

ドライブウェイ脇に解説ありました。味わい深いフォントですね。
f:id:aquatottotoday:20160401134135j:plain
チャートの説明もあります。「ガラス質の殻を持つ放散虫」、気になりますね。古生代の生きものってどんなんがいたんでしょうか。

というわけで、じゃん。「豊橋市自然史博物館」。
f:id:aquatottotoday:20160401134136j:plain
初めて来ました。併設の遊園地で子らにせがまれて久し振りにジェットコースターに乗り、涙目になりました。。

見て見て放散虫の模型あるよ!ステキな形~~
エンタクティニア
ペルム紀の放散虫・エンタクティニア。透きとおってますね。放散虫の殻がガラス質なのを表現してるそうです。大きさは、1mmの約1/10から1/20程度。顕微鏡でないと見えません。チャート数ミリできるのに1,000年かかるとか。スゴいですね。

うわっ、シカマイアさんだ!!!!!!
f:id:aquatottotoday:20160401134138j:plain
シカマイアもペルム紀末期の生きものでしたね。P-T境界を越えられなかったんですね。

こちらの博物館の古生代ルームは分類ごとに展示が分かれていて面白いです。こちらは両生類のコーナー。アカハライモリみたいなカラーリングの子がいるw
f:id:aquatottotoday:20160401134139j:plain
生物イラストの第一人者・小田隆さんの絵が随所にふんだんにあしらわれていて、これを見るだけでも価値有り。

うわっ、なにこの生きもの・・・!
f:id:aquatottotoday:20160401134140j:plain
ディプロカウルスっていうそうです。

古生代ルームから中生代ルームに渡る通路の壁面に、なにか亀裂が入ってます。
f:id:aquatottotoday:20160401134141j:plain

ハッ、これはきっと・・・
f:id:aquatottotoday:20160401134142j:plain
P-T境界・・・・・・!!!

地球史についてもっと勉強したくなり、図書館で本借りてきました。家に帰ってから気づいたけど一番上(手前)の本の著者のひとりは、自然考の地形・地質担当でこの項を執筆された川上紳一さんではないですか。自然考旅、執筆者の助けは借りないルールなんですけど大目に見てもらっていいですか?この本「『地球史』の最新トピックスを図表入りでやさしく解説した入門書」だそうですが、かなり高度です(私には)。f:id:aquatottotoday:20160401134143j:plain

下の青い本、中学生向けだと思うんですけどめっちゃわかりやすくておすすめ。「6度目の大絶滅」も超おすすめ。

さて金華山の黒色泥岩やP-T境界について調べてると、この岩の写真に頻繁に出くわします。こちらは上の、川上さんの本の口絵。
f:id:aquatottotoday:20160401134144j:plain
なんかすごく有名な岩みたいです。「岐阜県鵜沼の三畳紀初期の地層。P/T境界事件にともなって堆積したとされる黒色チャート層」。フーン。鵜沼。・・・・・・ハッ、鵜沼!?オーストラリアとか中国とかじゃなくて、鵜沼!?U N U M A!?

というわけで、じゃん。来ました各務原市鵜沼、木曽川べり。自然考旅はまだ終わらない。
f:id:aquatottotoday:20160401134145j:plain

ライン下りで有名な付近一帯は、金華山のあたりと地質的につながっているそうです。いますっごいはしょりましたが詳しくはこのへんで。
f:id:aquatottotoday:20160401134146j:plain
赤いですね。酸素が豊富にあったところに微量の赤鉄鉱が含まれてるとこういうチャートになるんですね。

こういう美しい縞々模様があちこちに見られます。
f:id:aquatottotoday:20160401134148j:plain
キレイですね~。川上さんの著書には「縞々学」というのもあるそうです。縞々学!

そういえば豊橋市自然史博物館に展示されてた「チャート」、岐阜県各務原市ってなってたけど、このあたりの石かな。
f:id:aquatottotoday:20160401134147j:plain
うちの小三は拾った赤石を川で濡らして「レバー!(゚∀゚)」と喜んでました

あの岩」を探して、河原をウロウロ。WEBで集めた現場写真をプリントアウトして、それっぽい景観を探ります。
f:id:aquatottotoday:20160401134149j:plain
プチ藪漕ぎ。

ん!あれは!
f:id:aquatottotoday:20160401134150j:plain

やりました、見つけました「あの岩」です!!!!
各務原市鵜沼黒色チャート
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

興奮して写真撮りまくってたら、藪の中に取り残されて動けなくなった7歳が背後で号泣してました。ゴメンヨ
f:id:aquatottotoday:20160401134152j:plain
思ったより大きい~~

分析用にくり抜いたような跡がたくさんありました。間違いありません、これこそP-T境界事件の謎を解くカギとなった、世界的に有名な「あの岩」です。
f:id:aquatottotoday:20160401134153j:plain
地学っぽい写真が撮りたくて、置いているのはハンマー・・・ではなく、自宅にあった「トンカチ」ですがw トンカチが横断しているのがペルム紀末の黒色チャート。つまりトンカチの頭のあたりが「P-T境界」ってことになるんですかね~。P-T境界を目で見る日が来るとはね。

今回、地球史と生物絶滅事件について調べながら、改めて、地球という存在の稀有さ・かけがえの無さと、いま生き残っているいきものたちへの愛情が深まりました。みなさんも金華山にお越しの際はぜひ、黒色泥岩に触れて太古のドラマを感じてください♪

 

地層に生物絶滅の記憶
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.40

f:id:aquatottotoday:20160402063535j:plain

難易度:★☆☆☆☆

f:id:aquatottotoday:20160129153105p:plainコメント:
七曲登山道の中間地点、「岐阜城・岩戸公園・岐阜公園」の看板のある三叉路を、岩戸公園方面(金華山ドライブウェイに接続)に向かう切り通しの左手にあります。登山に自信のない方は、金華山ドライブウェイからのアクセスが便利。すぐそばに駐車帯があり、案内板もありますのでわかりやすいでしょう。鵜沼の「あの岩」はGoogleマップで検索窓に「35.398735, 136.959024」と入力して下さい。河原への入口は、サークルK(ファミマになるのかな?)各務原宝積寺店の裏手にあります。歩きやすい靴推奨。