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「岐阜の自然考」をめぐる旅

見て知ることが第一歩。あふれだす身近な自然への愛情を18名の執筆者が語るエッセイ『岐阜の自然考』。その舞台をめぐる旅に出ます。

湿地はめぐる、湿地をめぐる・シデコブシ

植物の話が続いていますが、今回は時期的にどうしてもシデコブシです。

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「地球上で岐阜県、愛知県、三重県にしか生育しない希少な樹木」(自然考より)、このブログの扉絵にも採用しました。園芸種はよく見かけますが、自生地はまだ見たことがありません。1年の期間限定企画なので季節ものの取材は緊張します。絶対に見逃したくなーい
(*゚∀゚)=3

 

時は3月中旬。ちょっと早いけどとりあえず下見に。今回も場所はわかっているので楽勝のはず・・・・・・でしたが見事に場所を思い違いしてしまいました。ググればすぐわかったはずなのに、思い込みとは恐ろしい。毎度お馴染み探し当てるまでのグダグダもみなさんそろそろ聞き飽きたと思いますので、詳しく語りません。何が起こったのか、写真でなんとなく察して下さい。ではどうぞ。
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大体おわかり頂けたでしょうか。今回非常にたくさんの人に助けていただきました。ありがとうございました(-人-)

というわけでこちらがシデコブシ自生地です。じゃん。
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住宅街の一角に、かろうじて残っている感じです。背後は山ですが、道路を隔てた向こう側はニュータウンになってます。

看板ありました。
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・・・頑張って探し当ててこれ見つけるとなんだかブルーな気持ちに。調べない自分が悪いんだけど。見て見て「新生代第三紀の地層から種(註:種子のこと??)が発見されている」って書いてあるよ。「遺存種」っていうのは「過去の気候やその他の環境条件の変化に耐えて生き残った(環境省HPより)」種、だそうな。平たく言うと「生きた化石」。すごいねー住宅街で生きた化石が見れるなんて。

下見に来た日はまだ全部ツボミでしたが、4日後のこの日は上の方咲いてました。5分咲きくらい?
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これが野生のシデコブシ、湿地を渡る旅人の木・・・!

自生地の周囲は湧き水が滲みだして素敵な湿地になっています。
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シデコブシの足元には可璘なショウジョウバカマの姿がたくさん!

おや。これは湿地のアザミ「キセルアザミ」でしょうか。要確認。
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シデコブシ里山のような条件のよい場所では他の植物との競争に負けるが、他の植物が侵入できない湧水湿地のような過酷な環境では生き残ることができる」(自然考より)ですって!なんて健気でいじらしいのでしょうか。植物相が遷移して森になってしまったり、そもそも湧水が涸れてしまうこともあるでしょう。シデコブシは太古の昔から、湿地から湿地を渡り歩きながら生き延びてきたようです。そうそう、ヘビノボラズ(自然考P.179)も一株ありましたよ。

ニホンアマガエルが居ました。岐阜県美濃地方、この日の最高気温17.8℃。ニホンアマ、今年初見です。嬉しや。
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周りは田んぼなどまったくないのですが、ひょっとしてこの湿地で繁殖してるんでしょうか?夏になったらまた確かめに来ねば。φ(._.)メモメモ

スマホで撮影しておられる男性に声をかけてみました。道路の向こう側のお宅の方だそうな。「こんなの、昔は誰も見向きもしなかったんだよ~」と感慨深げ。
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きっとそうなんですよね~どこにでもいる・珍しくもないと住処(すみか)を奪い続けた結果、気づけばニホンカワウソはろくに標本も作られないまま消えたのですよね。。まだいるかもですが

湿地を渡り歩いていのちをつないできたシデコブシですが、この周りはぐるっと住宅街です。ここが涸れてしまったら、もう行く先はありません。岐阜市にはもう一箇所「則松」という自生地があったそうですが、2006年に他の広葉樹との競争に負けて消滅してしまったそうです(自然考より)。f:id:aquatottotoday:20160325181138j:plain岐阜大学さんで、他所へ移植する試みもされているようです。ここの株じゃないかもですが。

この日はまだ手の届く範囲はもこもこのツボミでした。
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これはこれで可愛いけど。やっぱり開花してる写真欲しいなぁ。

というわけで、じゃん。更に3日後。
f:id:aquatottotoday:20160325165331j:plainおぉ~上の方は満開です!

ほんのりとしたピンク色が実に可愛らしいです。
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まだ満開ではありませんが、

ご覧下さい。
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こちらが「野生の」シデコブシの花です。

こちらはコブシ。北国の春のやつね。
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遠目に見ると似てますけど見分け方は簡単。花びらの枚数が違いますね。コブシは6枚、シデコブシは12~18枚。花びらの形も、シデコブシの方が細長い。

公園の植栽や庭木として、園芸品種のシデコブシを見ることも多いです。
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改良種は「ヒメコブシ」と呼ばれたりするそうな。

はいこちらはシデコブシ。どうですこの控えめで繊細な、スッと薄く紅を引いたような花びらの付け根!
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男の人はこういう儚げで守ってあげたくなるようなタイプがいいんでしょ?わかってるわかってるwみなまで言うな、全部お見通しだからww

樹皮はこんな感じです。
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目は細かくてなめらか。花が咲かないと、コブシと見分けられないかも。

樹高はかなり高くなります。
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電線をかるく越えるくらい。樹齢はどれくらいなんでしょうね。

この日会ったご近所の方によると、今年(2016年)は少し早いそうです。「大体サクラの後に咲くの!」だそうです。サクラ自体の開花が今年は早いですもんね。あと「今年は花が小さい」とか。

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毎年4月の第一土曜日のあたりで「花見会」が行われるようです。自治会で下草を刈ったり木道を造ったり、保護にはかなり手をかけられているご様子でした。「ここにしかない地域の宝」があることを、開発の邪魔と考えるのと、誇りあるいはかけがえのない財産と思うのと、どっちが幸せなんでしょうね。

今週から来週にかけて見頃と思われます。
f:id:aquatottotoday:20160325165340j:plain地球上で東海三県にしかないシデコブシ、ぜひご覧にお出かけください♪



シデコブシ 湧水湿地で生き延びる
「岐阜の自然考 ふるさと ぎふの多様ないきものたち」P.81

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難易度:★☆☆☆

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例年、ソメイヨシノの開花より少し遅れて咲き始めるそうです(地元の方談)。住宅街の端の一角が自生地として保全されています。公園のようになっていますが駐車場はありません。路肩に駐車となりますので、長時間の占有、アイドリングはご遠慮ください。また、木道以外の保全エリアへの立ち入りは控えましょう。